交通事故によってPTSDになった場合の後遺障害
1 交通事故とPTSD
交通事故によって被る損害は、身体に対する外傷だけとは限りません。
事故の経験により、PTSDやうつ病等の非器質性精神障害を負ってしまうことがあります。
これらの精神障害は、場合によってはお怪我よりも仕事や日常生活に影響を及ぼすことがあり、自賠責保険の後遺障害認定の対象にもなっています。
2 PTSDの後遺障害等級
PTSD等の非器質性精神障害に関する後遺障害等級は、9級、12級、14級があります。
⑴ 第9級の7の2
通常の労務に服することはできるが、非器質性精神障害のため、就労可能な職種が相当な程度に制限されるもの
⑵ 第12級の12
通常の労務に服することはできるが、非器質性精神障害のため、多少の障害を残すもの
⑶ 第14級の9
通常の労務に服することはできるが、非器質性精神障害のため、軽微な障害を残すもの
3 PTSDでの後遺障害審査の考慮要素
労災における非器質性精神障害の認定にあたっては、
⑴ ①抑うつ状態、②不安の状態、③意欲低下の状態、④慢性化した幻覚・妄想性の状態、⑤記憶又は知的能力の障害、⑥その他の障害(衝動性の障害、不定愁訴など)のいずれか1つ以上の精神症状を残し、
かつ
⑵ ①身辺日常生活、②仕事・生活に積極性・関心を持つこと、③通勤・勤務時間の遵守、④普通に作業を持続すること、⑤他人との意思伝達、⑥対人関係・協調性、⑦身辺の安全保持、危機の回避、⑧困難・失敗への対応のうち1つ以上の能力について障害が認められること、
の総合考慮によって判断されています。
自賠責保険の後遺障害認定は、多くの場合、労災の認定基準を準用していることが多いため、交通事故の後遺障害認定においても参考になります。
このため、PTSDの後遺障害認定に関しても、上記の基準が参考になります。
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